羽ばたくとき
君の旅立ちを 知らないふりした朝 あの日から 僕らは 別々の未知を 歩きはじめ それぞれの 未来を 見詰めて 君は動きだした。 旅立ちは 羽ばたくときであれば いい。 ここで 何十人と 見送りながら いつも そう 心から 願うのだ。
View Article山のぼり
覚えていますか? もくもくと山を登る君を見つけ出したのは7年前。 僕が前に出たり横切ったりしても、君は見向きもしなかった。 ただ、ひたすら怒りの鉾先を、登頂だけに注ぎ込んで登っていた。 その姿が、あまりに痛々しくて声を掛けずにはいられなかったんだ。 登り終えた後、どんな達成感でしたか? それは君を変える出来事になったのですか? まるで、今の君は、あの頃の君と変わらない。...
View Articleこころ残り
誰から聞いたのだろう。 誰に聞かされたのだろう。 君が大切にしていた 本当の たからもの。 僕ではないと 知った あの日 雪のように 溶けた あの日 小さく はじけて飛んだ 僕の ココロ
View Article薄霞の雪月
蒼く晃る 逢魔がとき 微塵も見せぬ 真空の無音 乾き唇 震わせども か細い樹木の シルエット たなびく 蒼い ひとつの影ぼうし 一度は 銀へと染まりきり 朱色の花びら 弾け散り 闇に浮かぶは 艶なる瞳 見つめて 訴え ただ無音
View Article修業の果て
教えて貰うことは ひとつもなく ただ夢中で 仕事 を 技 を 盗んだ。 別のことを しながらでも 瞳だけは ギラギラと 輝かせ 彼等の動きを 盗み 見る。 まるで エネルギーを吸い尽くすように そして、培われ 血となり肉となり 我らの伝承が 受け継がれる それは 本当は 生まれ変わりの 伝承。 いま、私は あなたの人生を 歩んでいる。
View Article覚醒
夜明け前 まだ 頭が覚めきらない。 微睡みのまま 足もとが ふらつく そんな時に 思うのだ。 女のからだは 厄介だ 覚醒したばかり まだ 俺の脳は 順応しない 脳をからだに 合わせる為 やたらと苦い珈琲を 流し込む こんな作業は 厄介だ
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